掴めない猿川の自由な感性! RTDリーグ2017 BLACK DIVISION 第7節 39、40回戦レポート
6/19(月)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグBLACK DIVISION 第7節 39、40回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
前回終了時のポイントはこちら↓
今シーズンが始まる前、猿川を評して「掴みどころがない柳」のような選手と言ったのは、他でもない私であった。
39回戦、その猿川が、自由で独特の感覚を存分に披露する。
東1局に平賀のオヤリーチを受けてアンパイなしで何を切るか。
何を切るかというより、まずはどういう姿勢でこの手牌と対峙するかということだろう。
すなわち、押すのか、引くのかである。
現物なし、両面×2のイーシャンテンでは、ひとまず自分の都合を優先して押すのが現在の主流であり、1mのトイツ落としになりそうである。
また、現物がない場合には「2巡凌げるトイツ落とし」が今やセオリーとなっており、引く場合でもトイツの1mに手がかかりそうだ。
きっと多くのプレイヤーはそう打つしかない。
これは、どちらの姿勢を選択しても、1m切りになるしかない。
そういう手牌である。
そういう手牌であるのにもかかわらずだ。
猿川という掴みどころのない男は、7pを河に置く。
この手で猿川が選択した姿勢は「引き」であった。
引くにしても、普通は1mだろう。
しかし、猿川は違った。
「この瞬間で1番通りそうな牌にしました」と言うのである。
確かに、両面待ちならば、5pが3枚見えている分、7pが最もアタりにくい。
とはいえ、次巡に切る牌がなくなる可能性が高いのだから、1mのトイツを落としたくなるところだ。
それについては、「1m4m、6m9mはどちらも見えすぎていて、打ちたくないですね」と語った。
確かに、1m4mに関しては5枚見え、6m9mについては4枚見えている。その両面ターツを持っているなら埋まっていない可能性が上がっているということなのだろう。
これが、猿川が見せた、オンリーワンにして「最大限の引き」である。
結果、次巡に引いた西で平賀に放銃となるのだが、平賀のリーチは薄い1mを引き入れてのものだった。
ちなみに、「ドラが1つでもあれば、目をつぶって1mを打ちそうです」とのこと。
ドラが1枚あったらチャンス手と捉えることもできるのだが、それでも「渋々」といったニュアンスを存分に醸す猿川の感性が非常に興味深い。
さらに、佐々木にマンガンを放銃して迎えた自身のオヤ番でも、佐々木のリーチを受ける。
今シーズン、幾度となく訪れた劣勢だが、猿川はドラトイツのタンヤオで押し返すと、ドラがアンコになった後に仕掛けて4000オール。
これであっさり原点まで復活してしまう。
すると、1本場、またしても何切る。
下家の佐々木の河にマンズが濃く、ドラ受けも考えると5mを打ってピンズとソウズで勝負したくなるところ。
ここは、「真っすぐにアガりにいきたい」。
そういう状況である。
しかし、猿川の選択は打4m。
確かに、345、456両方の三色が残るのだが、この打牌の意図はそんなところにはなかった。
「何を切ったら、裏目を引いても一番カバーできるかなと思って4mにしました」
直線のアガリではなく、第1にフォローを考えているのである。
この感覚には脱帽した。
確かに、裏目の4p7pを引いてもソウズに雀頭を求めればよいし、4m切りには高打点での安定感がある。
そして、6sを引き入れると、なんとダマテン。
確かに、河を見ると、佐々木以外の2人は3m6mをツモ切りそうで、余剰牌として手牌にある場合でも、切るならば佐々木に対しての先切り的に早く切られそうである。
すると次巡に6000オール。
リーチなら一発ツモで8000オールだったが、今後も対戦する相手に対しては、8000オールよりもこの6000オールのほうが恐怖心をあおることができるだろう。
こうして、猿川の超感性による掴みどころのない半荘は、猿川の大トップで幕を閉じた。
続く40回戦では、
藤田のこのリーチに対し、丁寧に手を再構築した滝沢が追いかけリーチ一発ツモを決め、トップ。
オーラス、多井、白鳥、藤田の熾烈な2位3位争いは、多井・藤田のリーチに白鳥が仕掛けで押し切ってアガり切り、価値ある2着に滑り込んだ。
猿川がトップを取り、平賀が大きなラスを引いたことで、準決勝進出ラインの4位争いは激化してきている。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回6/22(木)21:00からBLACK DIVISION 第7節41、42回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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