石橋の冷厳な諦めの悪さ!図々しいたろうの待ち取り! RTDリーグ2017 WHITE DIVISION 第9節 51、52回戦レポート


7/24(月)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグWHITE DIVISION 第9節 51、52回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。

前回終了時のポイントはこちら↓

この51回戦を含め、各人2回を打ち切った時点で、上位4名が準決勝進出となる。

首位の小林は当確。

6位の瀬戸熊としては、この半荘でなんとか2着以上になって、最終戦で無理のない条件を作っておきたいところ。

大きくマイナスしている内川と石橋は、藤田が両DIVISIONで準決勝進出となった場合に5、6位で行われるプレーオフに向け、6位を目指すことになる。


麻雀の対局では、残り回数が少なくなればなるほど、各プレイヤーが熱を帯びる印象がある。

しかし、ここに、終盤になるほど冷静に盤面を見つめるプレイヤーがいた。

最下位の石橋である。

石橋が6位に入るためには、瀬戸熊との280ポイントをたったの2回でひっくり返さなければならない。

ほぼ不可能な条件を前にすると、人は簡単に無理をする。

無理をしても、言い訳が立つからだ。

ところが、この半荘で石橋は、ただただ冷静に、淡々と打ち続けた。

例えば、この局面。

南2局をトップ目で迎えているのだが、ターゲットの瀬戸熊がラス目でオヤということを考えれば、3m切りや6s切り、少しでも素点を詰めるための1m切りリーチという選択もある。

一方、石橋はドラの1m切りでダマテンを選択した。

かわし手の構えである。

では、イッツーに変化する9s引きではどうか。

今度はリーチでもよいのではないか。

ここでも、石橋は打6sでダマテンを継続。

絶好の4s7sを前にして、これをダマテンにしたのはなぜだろうか。

石橋の答えはシンプルだった。

「オヤ(瀬戸熊)からリーチがきそうだったから。瀬戸熊さんをラスのままにしないといけないからね(オヤ落としも含め、どこからでもアガれるようにダマテンを選択した)」

これを聞いたとき、私は、「石橋は本当に強い打ち手だな」と思った。

かなり無理めな条件下で、何をしたって言い訳できる状況なのにもかかわらず、一切言い訳をしない打牌を淡々と続けるのだ。

石橋は、状況に甘えず、静かに、冷ややかに、自分の麻雀を打ち切る。

そして、すぐに、「オヤとのめくり合いになる前に決着したい」という石橋の願いは成就した。

リーチしていればマンガンだったかもしれない。

しかし、私はこのダマテンに、冷厳という言葉がふさわしい、石橋の静かな気迫を感じたのである。

今期は敗退するかもしれない。でも・・・

たぶん石橋はまたすぐに勝ってくれるだろう。

この諦めの悪いダマテンは、次につながるダマテンであったように思うのである。


かくして、石橋は狙い通りトップ目で、瀬戸熊をラス目にしてオーラスを迎えた。

そのオーラス、まずは小林からリーチが入る。

すると、石橋も追いかけた。

しかし、ここに瀬戸熊が割って入る。

アガれば3着、ウラが乗れば2着である。

石橋は、これを瀬戸熊にアガられれば、6位狙いはほぼ消滅する。

瀬戸熊としても、これをアガって3着には入っておかないと、最終戦が苦しい。

それぞれの思いが交錯する3軒リーチの行方は・・・

制したのは、瀬戸熊。ツモってウラも乗り、2着。

瀬戸熊が、最終戦にトップを取ればほぼOKという条件を作り上げて最終戦に臨むこととなった。


続く52回戦では、2位~5位の対決。

ここで輝きを放ったのは、たろう。

1m4m、6m9m、4s7sのイーシャンテンに打たれた4mをチーしてあっさりテンパイを組むと、すぐに300・500をアガり切った。

少々無理したくなる点数状況で、なかなか取れるテンパイではないと思われる。

しかし、たろうは、切迫した状況(実際に藤田テンパイ、勝又・村上イーシャンテン)を読み切り、こちらも石橋に劣らず冷静にさばき切った。

すると、南3局では、ラスからトップに浮上する一発ツモのハネマン。

このハネマンが活きるのは、さきほどの地味な1000点仕掛けで他家の手をつぶしたおかげである。


いったんトップ目に立つと、非常に図々しいのがたろう。

9600のテンパイを果たすと、9sではなく7m単騎を選択する。

これは、村上が切っている7mに照準を合わせたもの。

実は、たろうはこの半荘で村上を抜いて2位に上がることを目論んでいたのである。

そうすると、最終戦で1、2、7、8位という安全な卓に入れるからだ。

並の打ち手なら、そういう状況を理解しつつも、手が縮こまって、少しでもアガりやすい端の9s単騎にしてしまいそうなところである。

すると、7mを自分で引いて4000オール。

トータルで村上をまくるところまではいかなかったが、十分有利に戦えるポイントを持って最終戦に臨むことに成功した。

ついに次回、RTDリーグ2017予選WHITE DIVISIONが最終回を迎える。

特に、3~6位が直接対決するB卓(54回戦)は必見である。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)

■次回7月27日(木)21:00からWHITE DIVISION 最終節53、54回戦(最終戦)をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定


藤田晋 invitational RTDリーグ

トッププロを招聘した長期リーグ戦「藤田晋 invitational RTDリーグ」。BLACK・WHITEの2リーグ戦を経て、準決勝・決勝にて年間チャンピオンを決定。AbemaTV麻雀チャンネルにて独占放送中のオリジナル番組です。

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