状況に合わせるカメレオン萩原!瀬戸熊が植え付ける恐怖心! RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 33-36回戦レポート
5/28(月)および5/31(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 33-36回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
▼▼▼BLACK 34回戦:状況に合わせるカメレオン萩原▼▼▼
前回までの成績はこちら↓
三色や一色手など、豪快に大物手をアガるイメージのある萩原だが、私の印象はといえば、やはり状況に溶け込んで合わせるのがうまいカメレオンのような印象だ。
東1局、前巡にテンパイしていた萩原は、1枚切れの南単騎でツモ切りリーチといった。
前巡の8s切りでリーチにいくと、ある程度チートイツが匂い立つのだが、ツモ切りリーチにいくとこの南は少し死角に入る。
チートイツテンパイで1枚切れの南単騎だったとすると即リーチにいきそうであり、ツモ切りリーチにすることで待ちを背景に溶け込ませることができるという意図だ。
これを松本から打ち取って8,000で先制すると、次局では發、白とポン。
さて、どのターツを外してイーシャンテンにしようか。
ドラが7mであるためマンズには触らず、3s4sと2p3pの比較で、より端にかかって上家が切っている1p4pを残して3s4s切りがいいだろうか。
しかし、萩原は思いもよらない1打を放つ。
打5pである。
通常、想定には入らない選択だが、打たれてみれば合点がいく。
どうせドラの7mを使い切るなら、6m、7m、8mのうちどれを引いてもそれなりに使いやすくなるリャンシャンテン戻しで、このうち特に最もほしい7mを引いたときに両面×2という最強の形になる。
選択をいったん後回しにし、後に状況に合わせようという萩原らしい選択だ。
これが狙い通りの1,300・2,600。
仮に白ポンの時点で3s4sを払っていたら、テンパイにすらたどり着いていないアガリ形となった。
懐の深い「状況に合わせる技術」で、萩原が久しぶりのトップを獲得した。
▼▼▼BLACK 35回戦:瀬戸熊が植え付ける恐怖心▼▼▼
ここが勝負所とばかりに、瀬戸熊がノミ手ながら場に安いソウズ待ちリーチでアガリを取りにいく。
すると、ドラアンコで5mを4m6mでチーしていた萩原が、瀬戸熊のリーチ宣言牌6pをポンしてテンパイ。
さらに、松本からも6s9sのリーチが入った。
対する両面待ち2人のテンパイに絶体絶命かと思いきや、瀬戸熊があっさり1,000オールで凌ぐ。
すると、さらにもうひとアガリでトップ目に立った瀬戸熊にチャンス手。
チャンス手では一直線にアガリにいくイメージがある瀬戸熊だけに、打6sかと思いきや、ここでは現物の2pを打って悠長に構える。
実は瀬戸熊、一色手の勝負手では真っすぐにいくイメージがあるが、このように柔軟に構えられる手牌では先制者に合わせてMAX打点だけを追うことも少なくない。
すると、追いついて一撃必殺の8,000オールでトップを決めた。
連続アガリからこういう決め手をアガった瀬戸熊は、オリない傾向が強い。
それを長期戦の中で学んだのが松本だった。
タンヤオドラ1で、程よくスジにかかったカン4m。普段なら打点効率でシンプルにリーチだろうが、松本はこれをダマテンに構える。
松本「オヤの瀬戸熊さんが間違いなく押し返してくる確証があったので、ダマテンに構えました。長いリーグ戦の中で身についた対応かなとは思いますが、微妙ですかね?」
この対応に関する評価は難しい。
松本の選択も痛いほどわかるし、一方でそれらを理解した上でシンプルにリーチといく打ち手がいてもそれはそれで強いと思う。
重要なのは、瀬戸熊が与える恐怖心に負けて「リーチできなかった」ということだけは避けねばならないということだろう。
ここでの強者の選択には、「リーチしない」か「リーチする」という選択しかないのであって、「リーチできなかった」という選択はありえない。
これは感覚になるのだろうが、松本のダマテンには「リーチできなかった」という受動的な感じをあまり感じず、「リーチしなかった」という能動性を感じた。
そのため、結果的に一発ツモになったのだが、それほど気にならない。
この半荘では3着に甘んじた松本だが、これは次につながるかもしれないなというのが私の所感であった。
▼▼▼BLACK 33、36回戦:苦悩の多井▼▼▼
トップが遠く、ジリジリとポイントを減らしている多井、この辺りで是が非でもトップがほしいところ。
その多井がオーラストップ目のオヤ番で早々にテンパイを果たす。
フラットならば打5pとし、5p先打ちのカン8pやドラの5m受けを見るところだと思うが、早くもピンズ待ちが若干良く、カン4pや3p6pリーチ、ダイレクトの6pツモも捨てがたい。
そこで、多井は打7mでいったんテンパイに取るのだが・・・
結果はドラをツモ切った後に5pを宣言牌としたカン8pリーチとなってしまった。
このカン8pはかなり出にくい。ドラの5mをツモ切ってまで引っ張った5pは確実に手牌に関係しており、5p7p9pという形が濃く想定に入るからだ。
このリーチに対し、うまく回ってテンパイしたのが小林。
終盤にツモか直撃条件のリーチといき、多井との2人テンパイで流局となった。
小林のこの手牌、仮に多井が打5pでテンパイを外し、カン6mリーチにいっていると、8p連打からのノーテンで終わっていたように感じる。
ここを1人テンパイで終えていると、次局に小林の1,000・2,000で多井は逆転されていない。
意図はわかるのだが、なかなか素直な結果を引けない苦しい多井は、トップをまくられて次戦に挑む。
次戦、多井の前に立ちはだかったのは白鳥。
白鳥は、前巡のイーシャンテンではアンカンせず、5pを引いてここでアンカンとする。
5pを引いたことでピンズが4p6p7p受けになったような感覚になったのだろう。絶妙なバランスに感じる。
すると、リンシャンから絶好の7pを引いて4s7sのリーチとなった。
これに対する多井。
うまくアタリ牌の7sを使い切って追いかけリーチといくが・・・
実らず白鳥がツモアガリ。
それでも、多井は攻撃を続ける。
ヤマに多く残っている3s6sのドラ切りリーチで勝負をかけた。
興味深かったのはその下家の白鳥。
カン4mのダマテンを組んでいた白鳥は、カン5sでチーして8sを打つと、多井の一発を消しながら打点を上げてテンパイを維持できるのだが、これをスルーしていく。
白鳥「4mが2枚切れであまりアガれる気がしていなかったのと、やっぱり6m引きのタンピンドラ1が強いので鳴きませんでしたね」
すると、構想通り6mを引いた白鳥がリーチをかけ、多井から一発で4mを打ち取って16,000。
「リーチ時の少考は、最終戦ですごく疲労がたまっていて、判断が遅くなってしまいましたね。ノータイムで追いかけリーチでした」、と長時間にわたった第6節の最終戦を反省の弁とともに振り返りながらも、白鳥が一撃でトップを決めた。
逆に多井は、最善を尽くしているように見えるのだが、トップが遠く手痛いラス。ほぼ±0で残り3節に臨む。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回6/4(月)21:00からWHITE DIVISION 37、38回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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