変化球の藤田、直球の白鳥! RTDリーグ2017 BLACK DIVISION 第3節 17、18回戦レポート
3/30(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグBLACK DIVISION 第3節 17、18回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
16回戦終了時の成績はこちら↓
17回戦では、ハネマンをツモって先制した滝沢を猿川がまくると、南1局でも猿川が3軒リーチを制してマンガンツモ。
これでトップを決め、マイナスを100付近まで減らすことに成功した。
続く18回戦は、起家から順に
多井 隆晴(RMU)
藤田 晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)
白鳥 翔(日本プロ麻雀連盟)
平賀 聡彦(最高位戦日本プロ麻雀協会)
私は野球をあまりよく知らないが、投手なら、藤田は球種を多く持つ変化球投手。
手順、押し引きともに、様々なバリエーションであっと驚かせてくれる。
一方、白鳥は直球タイプの投手。
球種としてはほぼ直球のみなのだが、その緩急と制球の鋭さで、相手を抑える選手である。
東1局、北家平賀が2つ仕掛けてジュンチャンドラ1をテンパイした場面。
ここで、白鳥にテンパイが入る。
ドラ9pを切らないのであれば6p切りなどもあるが、白鳥は9pを打ってダマテンに構える。
すると、この9pが鳴かれないことを確認し、次巡に空切りリーチといった。
手順を変えているのではない。
あくまで手順はオーソドックス。とにかくその正着を正確に積み重ねていくスタイルだ。
白鳥が変えているのは、緩急なのである。
いったんダマテンで緩く構えると、スキを見つけてすぐに剛速球に転じる。
その速球が、平賀の5pを一発で捉えた。
一方の変化球投手・藤田はというと、オヤ番でこの手牌。
2枚切れの北を引いたところで、ピンズのカンチャンを外してホンイツイーシャンテンに構える。
ここからがすごかった。
白鳥のこのリーチを受け、藤田はなんとリーチ宣言牌3mをポンしたのである。
確かに、3mをポンすれば、マンズの2~9まで何を引いてもテンパイできる形となるのだが、この3mにポンの声が出るのがすごい。
このポンについて、ホンイツを得意とする解説の佐々木でさえ、「絶対鳴けない」と驚嘆の声を上げた。
さて、私もこの3mポンには驚いたのだが、やはりこれは変化球なのだろうか。
他のプレイヤーに聞いてみた。
多井「鳴かない」
村上「鳴かない」
石橋「鳴いた方がいいと思うし、鳴ける自信がある」
ここまでは印象通りだったのだが、次に聞いた小林の回答が非常に興味深かった。
小林「これは、検討すればポンした方が得という結論になるかもしれない。でも、この瞬間にポンの声が出るかと言われると、たぶん声が出ない。イーシャンテンからイーシャンテンへの鳴きは、そもそもあまり想定していないので」
つまり、この3mポンは、RTDリーグという土俵の上では、藤田の他には石橋ぐらいしか仕掛けない変化球なのである。
では、この変化球の源泉はどこにあるのだろうか。
RTDリーグ出場者以外に話を聞いたとき、その疑問が少し紐解けた。
最高位戦日本プロ麻雀協会Aリーグ・園田賢「鳴く」
天鳳位・独歩「リーチ宣言牌なら鳴く」
最強位・近藤千雄「鳴く」
日本プロ麻雀協会Aリーグ・橘哲也「鳴く」
麻雀の戦術で新旧を語るのはあまり好みではないが、この結果を見たとき、3mポンは「現代風」ということになるのだろう。
その感覚を、RTDリーグという最高峰の選手が揃った重い舞台にも自然体で持ち込むことができる。そこが変化球投手・藤田の強さの源泉だと思うのである。
ポンの後、無スジを何枚も切り飛ばし、6000オール。
藤田が、会心の手順でトップ目に立つ。
しかし、南場のオヤで白鳥が粘り、藤田に迫った。
あとひとアガリで藤田まで届くのだが、ここで平賀のリーチが入ってしまい、一発目に何切る?
現物は1sなので、一発目とあらば1sに手がかかりそうだが、白鳥は、まっすぐ7pを打ち出す。
平賀のこの打席、白鳥の決断は全球速球で真っ向勝負だった。
すると、多井の追いかけリーチに対しても無スジの4pを切ってピンフリーチ。
ここは絶対に押し切る。
その熱が、観ているほうにまで伝わってくる。
そして、その熱が、平賀の2sを一発で捉えた。
対局後も、熱が冷めない白鳥。
それもそうだろう。
その熱、すなわち緩急に対する精度が、この男を支える源泉なのである。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回はWHITE DIVISIONに移り、19、20回戦を4/3(月)21:00~ AbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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