多井vs松本、最終決戦!最終戦、村上の選択とは!? RTDリーグ2018 BLACK DIVISION51-54(最終戦)レポート

7/23(月)、7/26(木) 21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 51-54回戦(最終戦)の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼BLACK 51回戦:村上、残留を賭けた最後の戦い▼▼▼

ついに各プレイヤー、残すは2戦のみ。

焦点は、およそ2つに絞られた感がある。

内川vs萩原の準決勝進出4位を賭けた戦いと、多井vs松本の入れ替え戦7位を回避する戦いだ。

それともう1つ。上記2つと比べるとかなり薄い可能性だが、村上の8位脱出というのも見どころとして挙げておこう。


しかし、そんなことを他所に、我が道を突き進んだのが小林。

5pの受け入れがかぶるため、打6pとして8mを残すと、見事7mを引き入れてリーチにいき、3,000・6,000を決めていった。

そして小林、南1局ではチートイツドラ2のイーシャンテンから、なんと8pをポンしていく。

奇跡の8位脱出を目論むオヤの村上はトップが最低条件となっており、無理をしてでも連荘を狙ってくる可能性が高い。それならば、村上が打った牌を次々にポンしてアガり切ってしまおうというのである。

その目論見通り、小林があっという間にテンパイにたどり着く。

しかし、ここからが一筋縄ではいかなかった。

ドラを使い切るべく、早々にペン3sチーの形テン狙いに走った村上が、終盤に選択を迎える。

8sも3mも、7mも8mも生牌である。であれば、6s8sか3m4mのどちらかを外すしかない。

村上の選択は打4m。小林の手には、鳴きやすい8sが残っていることの方が多いと踏んだ。だが、実際には3mが小林にアタるため、次巡にも放銃になっておかしくない窮地に入り込んでしまった。

ところが・・・

村上は2mをカン2mでチーして打1mとし、見事な放銃回避。そして、テンパイ連荘に持ち込んだ。

奇跡に向けた、魂の連荘。すると、次局には、瀬戸熊のリーチ宣言牌5mをチーしてこのリャンシャンテンに受けていく。

門前派である村上の、こんな両面チーから入ったリャンシャンテンを見るのは初めてかもしれない。

それほど連荘したいのだ。現最高位の村上が、そこまでしてしがみつきたい場所、それがRTDリーグなのである。

すると、ここもなんとかアガり切って望みをつなぐのだが、粘りもここまで。

3本場でテンパイから瀬戸熊に打ち上げ、村上のRTDリーグ2018は事実上幕を閉じた。

この後、オーラスで2,600オールを決めた瀬戸熊がトップを逆転して終了としている。

今年度こそ負けはしたが、昨年までは2年連続準決勝に進出した実力者村上。私たちは、村上の魂の粘りを決して忘れないだろう。


▼▼▼BLACK 52回戦:多井vs松本、ラストバトル▼▼▼

さて、多井と松本の残留を賭けた戦いは、ついに最後の直接対決を迎えていた。

松本としては、この半荘で多井より上位にいき、最終戦を有利な3456位卓で打ちたいところ。

その松本、東1局に幸先の良いマンガンツモで先制した。

しかし・・・

次局にここから6m、2mの順に切ると、5sをアンカンしている多井が、ポン、ロン。

なんとこれが新ドラ3つの12,000で、松本は東1局のリードを逆に14,000のビハインドに変えられてしまう。

なかなか点差を詰められないまま、オーラスをトップまでマンガンツモ条件の3着目で迎えた松本が、多井の切った8mに手を止める。

カン8mは急所だ。しかし、この8mをチーすると、上家の多井からはもう何も出てこない。そんな状況にしてまで、チーするほどの急所だろうか。

松本の決断はチー。ここは明らかな急所で、あとは自力でなんとかできるという気迫が感じられた。

そして、ドラの發を2枚引いてテンパイまでこぎつける。

松本は、トップになるアガリしかしないため、多井以外からは見逃すつもりだ。ところが、この後に發がポンできるかアンコになるかした場合、急にどこからでもアガれるようになる。その場合には、2mを切っておけば3m6m9mや4m7m待ちを選ぶことができる。

その柔軟性を考えれば打2mかとも思ったが、松本は9mを打っていった。

松本「9mが3枚切れなので、どうせ3m6m9mは薄い。それなら、最終形というつもりで1枚多いカン3mに受けました」

この選択がピタリ。次巡に3mを引き、多井をまくってトップをつかみ取った。

インタビューを終えると、うれしそうな松本が控室に帰ってくる。今季初出場の若武者が、多井との最後の直接対決を制し、最終戦の3456位卓行きを決めて見せた。


▼▼▼BLACK 53回戦:多井の最終戦と村上の選択▼▼▼

多井は、後に打つ松本にプレッシャーをかけておきたいところ。多井の最終ポイントは当然松本にも伝わるため、多井は「3着では足りない」という意識を持っていた。すなわち、2着以上の連対が必須で、できればトップを取りにいきたいところだ。

その多井に、早くも難所が訪れた。

小林のオヤリーチに対し、多井は安牌ゼロ。攻める姿勢を保つなら8sでドラを使い切ったテンパイを目指す。攻めの姿勢を維持するにしても、いったん2枚ある1pを打っておき、早期にテンパイしなければもう1枚の1pを打つという選択もある。

一方、完全にオリるのなら、スジになっていて最も放銃にならなさそうな5mで一発放銃を避けるという選択になりそうだ。

多井の選択は打5m。ドラが浮いていることもあり、オリを選択していった。

しかし・・・

なんとこれが小林の単騎に捕まり、12,000。

瞬間、多井の顔がゆがんだ。

多井のこの表情からもわかるように、この12,000は致命傷になりえる。だが、幸い多井はラスオヤだ。オーラスまで、大逆転の目は残る。

しかし、そのオーラスは意外な形であっけなく終わった。

村上の2着キープのアガリだ。

麻雀とは自分の勝ちに向かって突き進むゲームである。

しかし、長く麻雀プロをしていると、時に自らの負けが確定しているのに打たなくてはならないことがある。その場合、どのように打つべきなのだろうか。

「ベタオリする」という者もいるが、それでは多井に対して有利に、松本に対して不利に打つことになってしまう。

一方、「普段通りに打つ」という者もいる。これでは逆に、多井に不利に、松本に有利に働くことになってしまうのだが、村上はそんなことは度外視し、純粋な気持ちで「普段通りの村上淳を観てもらうこと」を選択したのである。

応援してくれている人たちのために、村上淳の麻雀を観てもらうことを選んだ。

村上は伝えたかったのだ。

最高峰のRTDリーグといえど、人間が打っていること、勝敗が決してしまうこと。

そして、麻雀プロ・村上淳が打っていること。

ある意味では瀕死の多井に刃を突き立てるような打牌かもしれない。しかし、多井も村上も、納得したようにうなずいた。


▼▼▼BLACK 54回戦(最終戦):萩原、奇跡の逆転なるか!?▼▼▼

最終戦、松本は箱下6,400のラスを引かなければ6位で残留となるため、抑え気味に打ってアガれるところだけ局消化に走るだろう。

一方の萩原は、準決勝進出に向けて特大トップが必要だが、諦める理由はどこにもない。

拮抗した点数状況で南3局を迎えると、萩原がマンガンテンパイをダマテンに構える。

特大トップが必要であるため、リーチで倍満を引きにいきたくなるところだが、萩原はこの1m4mを内川直撃のチャンスと捉えた。

確かに特大トップを取ったとしても、どこかで内川から直撃を取っていかなければならない。それならば、盲点になりそうなこの1m4mで勝負を賭けようというのである。

そして、拮抗した点数状況ゆえにテンパイ料を狙って粘った内川が、打1m。

なんと萩原が本当に直撃に成功してしまった。

しかし、萩原の反撃もここまで。

オーラスは内川がアガって準決勝進出を決め、千両役者・萩原のRTDリーグ初年度が幕を閉じた。

この結果、最終成績は下記の通りとなった。

準決勝進出は、小林、瀬戸熊、白鳥、内川。

来期出場停止となったのは村上。

そして、後日入れ替え戦に回ることとなったのが多井だ。

多井は語った。

多井「村上さんが帰ってきたときに笑顔で迎えられるように、入れ替え戦は絶対に勝ちます」

窮地に立たされたのにも関わらず、戦友・村上の降級に触れる多井。背水のRTDリーグ2016王者が、友に勝利をささげるべく、絶対に負けられない入れ替え戦に臨む。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回7/30(月)21:00からWHITE DIVISION 49-50回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定!


藤田晋 invitational RTDリーグ

トッププロを招聘した長期リーグ戦「藤田晋 invitational RTDリーグ」。BLACK・WHITEの2リーグ戦を経て、準決勝・決勝にて年間チャンピオンを決定。AbemaTV麻雀チャンネルにて独占放送中のオリジナル番組です。

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