多井の一番嫌な倍満!迷いが消えた内川の鋭い判断! RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 39-42回戦レポート
6/18(月)および6/21(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 39-42回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
▼▼▼BLACK 39回戦:迷いが消えた内川の鋭い判断▼▼▼
長らく最下位に低迷していた内川が復調してきている。
それとともに、打牌に迷いがなくなっているように思う。
東2局、何の変哲もない当然の4,000オールなのだが、低迷している際にはこういった当然のカンチャンリーチにも若干の迷いが生じていたように見えた。
飄々としている内川だが、成績の低迷とともに、選択に自信が持てなくなっていたのではないだろうか。
その迷いが、ここ数節で晴れたように見えるのだ。
オーラス、トップ目をキープしていた内川に対し、小林がオヤで2フーロ。
そして、次巡にテンパイを果たした。
全て手出しという面白い捨て牌だ。
これに対する内川。
脇の2人がアガる公算が高いこともあり、打点がわからない小林に対してオリていた内川からアンパイが消えた。
ドラが1pということを考えると、安目になりやすいトイツの4p辺りで2巡凌ぐプランを採る打ち手が多いだろうか。
一方の内川は、なんと無スジの5sを打っていった。
これはいかに。
内川「仮に配牌でソウズが2s3s6s7s9sだった場合、第1打9sというのはあまりないかなと。少しイッツーが見えるので」
面白い。
確かに2s3s5s6s9sから第1打9sよりは、2s3s6s7s9sから9sが打たれる方が少なさそうである。
特筆すべきは、この5sを迷いなく打ち抜いている点だ。
結果、小林の1,000オールとなり、内川は放銃回避で凌ぐ。
すると、この後小林にいったんまくられるが、再逆転のアガリを決めてトップ。
持ち前の鋭さが戻ってきた内川が、ようやく内川らしいトップを決め始めた。
▼▼▼BLACK 40回戦:苦しすぎる多井の本当に嫌な倍満ツモ▼▼▼
東2局、小林のオヤが始まると、控室で観戦していた瀬戸熊が冗談交じりにつぶやく。
瀬戸熊「普通、1回アガリ逃すとけっこうアガれないじゃないですか?小林さんだけアガリが5通りぐらいあるんですよね(笑)」
5通りは言いすぎだが、本当に3通りぐらいあるよ、この人(笑)
この7,700で4万点台のトップ目となる。
逃げ足日本一の小林が、まさかこの点数から転落することになろうとは、このときは思ってもみなかった。
まず松本に並ばれると、次いで萩原からも反撃。
前巡の打6mで先制リーチをかけず、多井のリーチを受けてしまった局面。
ここから1枚切れで絶好の白単騎に受けると、一発でツモってマンガンを決めた。
解説に来ていた鈴木たろう、プロデューサーで元最高位の張、そして私の声が重なる。
「おれ、2m単騎でリーチしてそうだからアガれてないわ」
待ちの良さに対する要求水準の高い萩原らしい選択で見事なアガリを拾うと、オヤ番での4,000オールで一気にトップ目まで駆け上がった。
そして、オーラスに事件が起きる。
まずは、松本が發をポンしてテンパイを組む。
松本「(萩原からドラが出ない前提で)ドラツモ以外アガる気がなかったですね」
トータルを考えても、ここは無理にトップを狙いにいく局面と位置づけた。
点数状況的に、小林・松本の2着争い、松本・萩原のトップ争いだけに注目が集まったが、意外にもこの局の主役は多井。
2sを切ると、なんとチンイツリャンペーコーの倍満テンパイである。
ダマテンにすればどうアガっても3着に浮上する。
しかし、もしリーチしてツモるとトップまで逆転できる大物手だ。
多井の選択は打2sでのダマテン。
多井「8sはヤマにいても1枚だろうと思ってて、1枚止められたら終わるから、あれはリーチできない。ダマテンにすれば、今ならみんな切りそうだし。倍満16,000+順位点20,000で、役満みたいなもんだからね」
実際に、この後小林もソウズを打っているし、松本もおそらく打っただろう。
逆に、松本は言う。
松本「多井さんからリーチがきたら、ソウズだけは止めそうですね」
そう考えると、多井の判断は状況に合っているように思う。
しかし、対局後に意見は割れた。
多井・小林・和久津はダマテンにすると言い、萩原・たろう・瀬戸熊・白鳥はリーチすると言う。
リーチした場合、成功時の見返りが大きすぎるのが魅力的で、3倍満24,000+順位点80,000=104,000点。
つまりはトリプル役満以上の価値があるわけである。
そう考えると、リーチも悪い選択ではないが、これまでかなり意識してラスを回避してきた多井の麻雀を線で捉えると、ダマテンが自然に見えた。
しかし、結果はツモアガリ。
3着には浮上したのだが、結果的にリーチすればトップだった微妙なアガリに、多井もこの表情。
倍満を「放銃」した者の顔にしか見えない。
多井「ぼくがリーチしてると、動きとかが入って違う結果になってたかもしれないけど、AbemaTVで一番嫌な倍満だった」
トップは萩原。
萩原「(最後のオヤ番でポイントを叩きたかった気持ちはもちろんあるけど、)多井さんを信頼してるからやめたよ」
と、冷静にオリてトップを堅守した。
▼▼▼BLACK 41回戦:追い込まれた村上の焦り▼▼▼
4,000オールで先制した小林が、1本場でドラの6sにチーテンをかける。
2mを村上にアンカンされているため、アガリ牌は5mしかなく、12,000のテンパイだ。
これに対して2mをアンカンしている村上。
無スジの3mを引いてどうするか。
7pは現物、6pも通りそうではあるため、守備的にいくなら7p6pを外すことになりそうだ。
ワンチャンスの3mをツモ切りする選択ももちろんあるが、それは5mも打ち出すことを視野に入れたものであるため、リスクが高い攻撃的な選択である。
いったん回って反撃するタイプの村上は7p6p辺りを切っていくイメージだったが、ここで選択したのは打3m。
これには違和感があった。
そして、テンパイを果たすと、5m切りリーチを宣言し、小林に12,000放銃。
結局村上はここからさらに転げ落ち、痛恨のハコラスを食ってしまう。
村上のこの選択には、低迷期が続いていることによる焦りのようなものを感じた。
ちょうど、低迷期の内川に生じた迷いのようなものだ。
それを示すかのように、控室に戻った村上が最初に発したのは「5m打っちゃダメかなあ」である。
そう、仮にイーシャンテン時に3mを打っても、テンパイ時に7pを切ることもできたわけで、やはりバランスを崩しているように感じざるを得なかった。
▼▼▼BLACK 42回戦:オーラス、ノーテン罰符を争うシビアな攻防▼▼▼
最終戦では瀬戸熊が面白い選択。
3pが悪くなさそうであるため、4sを打ちそうなところだが、瀬戸熊の選択は打4p。
これは、678の三色にする前提で、カン7s以外にメンツを作る場合、シャンポンを残した方が変化に富むという柔軟な選択である。
であれば、仮にシャンポンテンパイになった場合、その選択と相性がいいのはダマテンだ。
しかし・・・
瀬戸熊の選択はなんとシャンポンリーチ。これをツモって4,000オールとした。
瀬戸熊「これは決めてましたね。周りの動きを止めるためにリーチしました」
「シャンポン受けを残して」「即リーチ」というなかなかに独特な組み合わせで、瀬戸熊がトップを決めた。
一方、オーラスを迎えて2着争いは熾烈だ。
現在2着目の多井は、この形から3sをチーしなかった。
3sチー打5sだと234三色が透け、自身で5pを切っているためにピンズ受けよりマンズの234がケアされることを避けたか。
しかし、この後テンパイせず、萩原からリーチが入ってしまう。
他家からは萩原に対してきつい牌に見えるノーチャンスの9mを打ち、テンパイを演出して白鳥をテンパイに持ち込ませない戦略を採るのだが・・・
白鳥「多井さんの9mはきついけど、9mぐらいじゃまだテンパイじゃないこともあると思ったから、その後に引いた無スジの8pも押しました」
結果、多井ノーテン・白鳥テンパイで流局し、白鳥が多井をまくって価値ある2着。
逆に多井は痛い3着落ちとなった。
戻ってくるなり、多井が口を開く。
多井「オーラス、3sチーするの?」
村上「ぼくはするけど(しないのも全然あるよね)」
多井「マジかあ。3sチーしとけばよかったかなあ」
あの多井ですら、不遇の展開が続けばふらつく。それが麻雀の奥深さでもある。
ペナルティ圏内の7位8位も、準決勝進出者も、まだ全くわからないまま残り2節に突入する。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回6/25(月)21:00からWHITE DIVISION 43-44回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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