多井が決め手を作るとき!小林が仕掛けを捨てるとき! RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 5、6回戦、BLACK DIVISION 1、2回戦レポート
2/5(月)および2/8(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 5、6回戦およびBLACK DIVISION 1、2回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
▼▼▼WHITE 5回戦:フリテンも辞さない石橋のテンパイ取らず▼▼▼
前回トップで2連勝を狙う石橋は、東1局でポンテンをツモって2000・4000で先制すると、今度は2mをアンカンしてリーチを放ち、達也から12000でトップを盤石にする。
そして迎えたオヤ番、石橋が手を止めた。
リーチの有無は割れそうだが、1mを切っているためカン5pテンパイには受けそうである。
一方、石橋が打ち出したのは6pだった。
なんとテンパイ取らずである。
石橋「5pを引いても高目ドラのフリテンリーチすればいいし、フリテン1m4m7mやカン7mならリーチ。とにかくリーチできる牌を多く構えておきたかった」
なるほど。フリテンを度外視すれば、確かに打6pの方がリーチできる牌が多い。
実際には、2pを引いてリーチするため、テンパイを取っていても同じ形になっているのだが、石橋らしい思い切りの良さが出た1打に、2018シーズンに向けた準備が見て取れた。
▼▼▼WHITE 6回戦:佐々木流、打点と好形のバランス▼▼▼
オヤの佐々木がここから打8mでイーシャンテンに構えるが、次巡のツモは無情にも裏目の7m。
ツモ切りかと思いきや、佐々木はここで打4mとし、フリテンに受けなおした。
カン7m固定よりは4mからの伸びでリャンペーコーまで見るが、フリテンとはいえ両面になれば5m8mで十分。
といった感覚なのだろう。
そして、イメージ通りフリテンリーチにいくと、ツモウラ2で6000オール。
その後もアガり倒し、特大トップを決めた。
▼▼▼BLACK 1回戦:ここで5pを切るために休まずかわし手を入れてきた▼▼▼
いよいよBLACK DIVISIONも開幕。
俳優の萩原、現發王位の新鋭・松本が初参戦となる。
そんなメンバーを迎え撃つのは、2016シーズン王者・多井。
「王者として絶対に負けられない」と意気込みを語ってくれた。
開局と同時に先制したのはその多井。
いったん先制すると、サボらずにかわし手で的確に局消化していくのが多井スタイル。
このピンフ高目タンヤオも1sが3枚切れのためダマテンに構え、後にかかった瀬戸熊のリーチをあっさりかわす。
南2局でも、萩原のドラポンを受け、この6s9sテンパイをダマテン。
すると、同巡の萩原。
9pか9sで打9sを選択し、多井がアガり切った。
仮に多井がリーチで決めにいっていたら、萩原は打9pとしていたため、確実にもつれていた。
南3局でも仕掛けて3900を2着目白鳥から直撃すると、安全圏でオーラスのオヤを迎える。
2着目が離れて打点を狙えるこの点数状況なら、思い切って5pを切っていける。
逆に、もし2着目と競っていたら、ここで北を切って広く受けるしかなかっただろう。
そう、多井が入れてきたダマテンや仕掛けは、すべてこの5pを打つための過程なのである。
すると、電光石火の18000。
仮に、あの巡目で5pを切らなかった場合、4pがくっついてしまうため、このアガリになったかどうかはわからない。
昨年は他家の攻撃をかわし切れなかった印象があるが、今期は多井らしい最高の形でのスタートとなった。
▼▼▼BLACK 2回戦:小林が仕掛けない手牌▼▼▼
上家の村上が東をポンしてマンズのホンイツ模様。
小林は、ここで打ち出される8pをスルーして、ヤマに手を伸ばす。
6巡目、2枚目の8p。
これをスルーした後、仮に5p8pが埋まってもホンイツの色と待ちがかぶり、3m6mが埋まってもドラそばで端が2枚切れの5p8pが残ってしまう。
これは、普段の小林からするとかなり鳴き寄りに見える。
実際、対局後に小林はこう語っている。
小林「これは、鳴かなくても間に合うかもしれないギリギリのライン。鳴いた方がいいかもしれないと思いながらも鳴かずに勝負に出た」
迷いながらも鳴かなかったというのである。
例えば手牌にドラがなかったり、マンズの部分が2m4mだったりすると鳴いていくのだろうが、打点(タンヤオピンフドラ1)と好形が確定しているため、スルーとした。
これが大正解。
3000・6000で松本を追走する。
「そもそもこんなの鳴かないよ」という視聴者の方も多いだろう。
しかし、これは本当に、小林という打ち手にとってのベースはチー。
つまり、小林にとってはかなりギャンブル要素の強いスルーなのである。
そして、その勝負所を最高の形で制した。
その後、松本との差を維持しながら、オーラスのオヤを迎えた小林が配牌を取ると、かなり整った形。
さて、第1打に何を切るか。
好形ターツは足りているため、ピンフになる牌で雀頭を作りたい。また、他の3者ともに打点ではなくアガリがほしいため、他家に役牌が重なる前に切ってしまいたい。
といった理由で三元牌から切り出すのが現代風だろうか。
一方、小林の選択は打9m。
小林「役牌が重なったシャンポンリーチも狙いたい」
ピンフではなく、役牌の重なりを期待したのである。
小林「リーチする予定のとき、符が安くなるピンフの1ハンは他の役より価値が低いので、狙いにいくほどではない」
では、みなさんが最も気になる質問をしてみよう。
― 役牌が重なったとき、鳴くことはありそうか?
小林「役牌は重なってもほぼ鳴かない。リーチする手牌でしょう」
そう。小林といえど、この点数状況・手牌での鳴きはないのである。
確かに、上下ともに離れているため、アガリ自体の価値は小さく、好形リーチの価値が高まっている。
結果、役牌は重ならなかったが、4000オールでトップに並ぶと、あっという間に抜き去った。
昨年、予選で敗退した多井と、決勝戦で敗れた小林。
ともに超一級品のかわし手を持つ2人が、決め手を作って大きなトップで2018シーズンのスタートを切っている。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回2/12(月)21:00からBLACK DIVISION 3、4回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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