勝又健志「麻雀IQ220」の真意! RTDリーグ2017準決勝第1節5、6回戦レポート
8/12(土)14:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ準決勝第1節5、6回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
開始時のポイントはこちら↓
前回、首位を明け渡した佐々木が、オヤ番でダブ東をポンしたドラ単騎のホンイツテンパイから、生牌のドラ中を切って1枚切れの西に待ち替え。
打点が十分なら、アガリやすさを取りにいく。
これをツモって4000オールを決めると、1本場でもチートイツテンパイ。
生牌のドラ5pか、生牌の北か。
自身の河がチートイツと断定できないため、北単騎というのも合理的な選択に見えるが、前局と違って打点に不満があるため、佐々木はドラ単騎でリーチといった。
またもツモって6000オールとし、佐々木がトップ。
ドラ含みの単騎選択を見事に正解し、首位に返り咲いている。
続く6回戦では、トータルでマイナスに転落した猿川が先行する展開となった。
1万点ほどのリードを持ってオヤ番を迎えると、2枚切れのカン8sでもリーチ。一気に決めにいく。
これに対し、無スジを切りまくったのが勝又。
6sをツモって形が決まると、ノータイムで無スジの8mを切り、そこからノータイムのツモ切りで押していき、最後には下記テンパイから5sも勝負した。
いくら自分の手牌が勝負するに見合うといっても、この迷いがない押しっぷりは異常だと感じ、勝又に話を聞いた。
― あれは、猿川さんの人読み(オヤでこの点数状況だと、愚形でも勝負リーチをかけてくることが少なくない、など)も込みの押しですか?
「そうですね。猿川さんのリーチというのはやはり理由の1つです。最終的には切りましたけど、5s8sと4m以外は押そうと思っていました」
なるほど。ということは、この手牌、勝又の目からは、三色ではなくドラを使ったチートイツ本線に見えていたのかもしれない。
では、三色のほうでテンパイすると、切らないようにしていた5sさえも打ち出した理由はどこにあるのだろうか。
勝又は続ける。
「根拠はなく感覚的なものですが、そこまで打点のないリーチかなと。なので、危険度は高いと思いましたが最後5sも勝負としました。
それでも、自分の手牌(が良いという理由)で押したという部分も大きいです。高打点の望める手でなければ、打点は低いと感じていてもこんなには押していないです」
「麻雀IQ220」、すっかり浸透した勝又のキャッチフレーズだが、よくこれを「理論に長けた選手」と誤解している若手選手などを見かける。
勝又は、確かに論理的に分析することに非常に長けた選手であり、その読みの精度はトップ選手の中でも1、2を争うという声も多い。
しかし、勝又の武器は、理だけにあらず。
勝又といえど、麻雀という複雑なゲームにおいて理だけで対応できることなど限られており、最後はあいまいに判断する感覚に頼らざるをえない。
勝又は、理だけではく、その感覚においても高い精度を持っている。だから強いのである。
IQが非常に高い人は、図形問題などを感覚的に処理してしまうという話を聞いたことがあるが、麻雀における勝又にしても同じこと。
これが、麻雀IQ220と付けられた真意であろう。
結果、最後まで押し切った勝又が、猿川から5mで8000をアガり切ってトップ目に立った。
そのままトップ目で南入すると、今度は押し引きではなく手順が面白い。
ここから、8pではなく、6mを打っていく。
この打6mは、おそらく日本で1人だけなのではないだろうか。
ダブ南をポンしてもなお、打1mで8pを残す。
これは、6m周りのマンズが使われており、逆に8p周りは使われにくいという読みに基づくものだろう。
そして、3mを引き入れると、8p単騎でたろうからすぐに8pで5200を決めた。
ピンズの上がいいと思っても、なかなかこのようには打てないはずだ。
しかし、勝又にはそれを実行してしまうだけの強固な意志と自信がある。
案外、この自信というのが、麻雀IQ220を活かす原動力なのかもしれないなと、ふと思った。
勝又が本日2トップで最下位から4位にジャンプアップ。
こうなると、選択肢も増えるため、勝又のさらなる躍動に期待が膨らむ。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回8/23(水)17:00から準決勝2日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定
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