猿川・平賀、分かれた感覚派の明暗! RTDリーグ2017 BLACK DIVISION 第8節 43、44回戦レポート
7/6(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグBLACK DIVISION 第8節 43、44回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
前回終了時のポイントはこちら↓
各人残り6回戦という状況で、マイナス4者の組み合わせとなった43回戦。これは、全員ががむしゃらにトップを狙いにいくところ。
そんな中、南1局で藤田が發と3sをポンしてマンガンテンパイのチャンス手で3着からの逆転を目論む。
すると、このテンパイに対して、猿川がリーチに出た。
ここまでRTDリーグをご覧になった視聴者のみなさんはすでにお感じのことと思うが、猿川は感覚の打ち手である。
理と感覚。
その2つに対し、身を委ねる配分が麻雀打ちの基本姿勢を決めるとするならば、猿川はためらいなく自身の感覚に身を委ねることのできる打ち手だろう。
特に、「待ち」に対しては、シビアに感覚を信じ切ってくるイメージがある。
打点があっても感触がない待ちではリーチしないし、打点が低くても感触がある待ちなら愚形でもリーチといった具合だ。
ここでも、それなりに良く見えるカン4mで躊躇なくリーチといった。
とはいえ、今回は待ちというより、大局観のような感覚が先に働いたように見える。
対局後に語ったが、「ここで何もできないとこの半荘はたぶんこのまま終わる」。
そういった感覚に寄り添った結果、この勝負リーチを放ったのだと言う。
結果、藤田が4mを掴み、ウラ3で8000。
これでトップ争いに食い込むと、次局でもするりと2つ仕掛けてテンパイを果たす。
掴みどころのない猿川には、「するり」「さらり」といった形容が本当によく似合う。
ダブ南ポン、9sチーでこのカン8sテンパイなのだが、この9sには声が出ないプレイヤーも多いだろう。
そこを、猿川はさらりと仕掛ける。
そして、ヤマに3枚の8sをするりと手元に滑り込ませ、あっさり他家のチャンス手をつぶした。
オーラスのアガリ競争では、「最速のアガリは三色かチャンタか役牌」と言わんばかりに第1打に6pを切ると、役牌を2つ残して8pもツモ切り。
6pは切れても、この8pは意外にツモ切れない。
アガリ競争で、7p受けという明確なロスを作ることには勇気が要るため、字牌のどちらかに手がかかりそうなところだ。
もし字牌を切っていると、このアガリはなかったのかもしれない。
粘り強く白を持ち続けた結果のアガリ。
猿川が、正に自身の感覚に身を委ねた猿川らしい麻雀でトップをもぎ取り、一時300近く背負っていたマイナスを完済して、ついにトータルプラスまでやってきた。
続く44回戦では、平賀が登場。
平賀も、独特の押し引き感覚に身を委ね、常人には考え付かない過激な押しを見せる打ち手である。
しかし、その平賀がらしくない。
確かに、そつなく打ってはいるのだが、退いたためのアガリ逃しなどもあり、何やら別人のように見えた。
それでも、南3局にこの3200をアガり、トップ目に立ってオーラスを迎えた。
しかし、そこに待ち受けていたのは、佐々木のオヤリーチ。
これに対する平賀は、早くまとまりそうなイーシャンテンだったが、一発でドラそばの2mを掴む。
長考に沈む平賀。
思うに、長考の主が平賀ならば、この長考はおそらく良く結果に結びつかない。
長考とは、すなわち、「理を確かめる時間」だからである。
思考時間が長くなればなるほど、理が感覚を侵食していく。
いわゆる「ノっているときの平賀」は、この手牌でもノータイムで2mを打ち出すだろう。
しかし、長考によって理に押し込まれた感覚は、押し戻すだけの力を持たず、平賀は現物の打3mでオリに回った。
すると、佐々木があっさりドラをツモって6000オール。
結果、真っすぐ打っても平賀にアガリはなかったが、この半荘全体を通して平賀の良い部分が影を潜めたような印象を受けた。
もし平賀に「残りの半荘でこのまままとめ切る」意識が出てきているのならば、その意識がまずい方向にいかなければよいのだが。
4位猿川と5位多井の差が100ポイント以上離れ、マイナス組にとっては崖っぷち。
次回、次々回が1つの山場になりそうである。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回7/10(月)21:00からBLACK DIVISION 第8節45、46回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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