安くてもトップは取れるんです(゜―゜) RTDリーグ2017 WHITE DIVISION 第3節 13、14回戦レポート
3/13(月)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグWHITE DIVISION 第3節 13、14回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
12回戦終了時のポイントはこちら↓
13回戦、1人置いていかれた瀬戸熊が、南場のオヤ番でドラ単騎をリーチすると、ツモってウラも9p。
6000オールで一気に2着目まで浮上すると、オーラスもアガり切って逆転トップ。
2連勝でポイントをプラスに戻した。
14回戦の対局者は、起家から順に
村上 淳(最高位戦日本プロ麻雀協会)
小林 剛(麻将連合)
藤田 晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)
内川 幸太郎(日本プロ麻雀連盟)
現在首位を走る小林。
長らく、競技麻雀で損だと言われてきた「安くて遠い仕掛け」で勝ちまくる、いわば異端の打ち手である。
その小林が、オヤ番で1枚目の白をポンしてテンパイ。
しかし、これは当然最終形ではない。
最終形として描くのは、ダブ東を使った12000だろう。
だが、小林も同じなのだろうか。
小林なら、堅実に2900を取りにいきそうではないか。
小林もダブ東を使ったアガリを見るのか、本人に聞いてみた。
「基本スタンスとしては、東がアンコになった場合も、出た場合もポンして単騎に受ける。7m8m引きならシャンポンにも受ける」
低打点でやりくりするイメージのある小林の言動としては、意外に思われる方もいるのではないだろうか。
しかし、そこは小林。次にすぐに出た言葉に、小林らしさを感じた。
「特にポンの場合、手牌は短くなるが、3役晒すことによって相手にも制約がかかるため、守備力もそれほど低下するとは思わない」
私は、これが小林麻雀の生命線だと思っている。
小林麻雀における守備の肝は、手牌が短くなったときにどう凌ぐかという「事後の守備」より、先に仕掛けて相手にリスクを押し付けることで制約をかける「事前の守備」にある。
そのため、「仕掛けた後に攻撃を受けた場合の守備を学ぼう」と小林の麻雀を観る方がいるが、それだけでは当然足りないというわけだ。
ここでは、選択が出る前にツモアガり、小林らしい1000オールとなったが、裏側には上記のような意図があった。
すると、次局には、メンホンのイーシャンテンからあっさり北をポンして2900。
軽快に点数を積み、あっという間にトップ目に立ってしまった。
そして、トップ目に立っても、全くブレない。
こんな不十分な形から3巡目に1枚目の東をポン。
ここから東をポンするトップ選手は、おそらく小林だけではないだろうか。
これは、直線的な佐々木でさえもたぶん鳴かない東だ。
そして、ここから打北ではなく、打9pとするのが小林のバランス。
東ポンで小林を視界に入れさせる事前の守備を打ちつつ、北で事後の守備にも備える。
これぐらい手牌が悪ければ、事後の守備も重視していく。
しかし、6巡目のこの形。
これなら、まっすぐ進むに値するため、北を打って広く構える。
そして、十分な形ができると、9巡目という巡目を考慮し、中を残して事後守備に備えた。
このタイミングで藤田からリーチ。小林は、現物の1pをチーして打中で、安全にテンパイまでたどり着いた。
これはアガリには結び付かなかったが、守備のバランスを考慮したこの一連の選択が、小林というプレイヤーを構築している大黒柱だと思うのである。
すると、2着目で迎えたオーラスでも、7巡目に4s5sの両面ターツで6sをチー。
堅実に2着を取りにいった。
この時点で發が2枚切れのため、西に頼るしかない。
ここに、内川のオヤリーチが襲い掛かった。
さらに、村上がドラの1mをアンカン。
すると、西がカンドラになる。
「これでマンガンになった!トップが狙える!」と思うのが多数派だろうか。
一方、小林は言う。
「カンドラが乗った瞬間、『満貫でトップになれる』とも思ったが、『西が出にくくなったのに、オリにくくなってしまったな』とも思った」
やはり、これが、小林の微妙なバランス感覚を表している言葉だろう。
必ず、絶妙な両面のバランスを取っていく。
これでもまだ、これを僥倖のトップと言えるだろうか。
本人はそう言ったが、私にはとてもそうは思えなかった。
そして、小林はこう言い放った。
「高い手を狙わなくてもトップは取れるんです(゜―゜)」
これこそが、小林が絶妙なバランスで築き上げた妙技である。
首位の小林が、頭1つ抜け出した。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回3/16(月)21:00から15、16回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
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