苦悩の達也、最後の大勝負!準決勝 第4節 3回戦レポート
10/29(土)16:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDマンスリーリーグ準決勝 第4節 3回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
座順を決めるべく、現在の上位者から順に裏返された風牌を引いていく。
最下位の達也がトイレから帰ってくると、3者はすでに引き終わっており、残っていたのは北。
それが北であることを確認すると、達也は歓喜した。
最終戦では、オヤ番がなくなると勝利条件が消滅してしまうことがあるため、追いかける立場としては、最後までオヤ番がなくならない北家スタートが有利である。
逆に、もう1人の追いかける側・小林は、南家スタートでやや厳しい。
こうして、起家から順に
瀬戸熊 直樹(日本プロ麻雀連盟)
小林 剛(麻将連合)
藤田 晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)
鈴木 達也(日本プロ麻雀協会)
の座順となった。
小林・達也は6~8万点クラスの特大トップにしか意味がない。
逃げる藤田は、ラスだけ引かないようにという方針だが、小さなラスであれば許容範囲だ。
何をやっても通過の瀬戸熊は、もはやお好きにどうぞ、の成層圏である。
東2局、小林は1回目のオヤ番を迎え、7巡目にテンパイを果たす。
普段なら4p切りリーチで問題ないのだが、特大トップが必要なこの状況では、チートイツで6000オールを狙いにいく方法もある。
しかし、小林は、いつも通りアガリやすさを重視し、4p切りリーチとした。
これに対し、達也は10巡目にはダマテンに構えたが、12巡目にツモ切りリーチ。
カン3mのダマテンで押し続けるのが達也の基本フォームだが、2巡の間に思い直し、点数状況を重視してハネマンを引きにいった。
結果、達也が9sを掴んで3900放銃。
それでも達也は攻め続けた。
東3局、今度はフォーム的にも文句なくリーチ。
一方の小林も、ホンイツのチーテンをかける。
北家であるため、北でも中でもマンガンとなるテンパイだが、すぐにドラの4mを掴むと、少考の末にツモ切って8000。
達也がトップ目に立った。
南場に入っても、攻め続ける達也。
ドラ2枚から發、9sと積極的にポンしていくと、小林のリーチ宣言牌8pもポンしてテンパイまでこぎつける。
しかし、ここはリーチの小林がツモってウラ2の3000・6000。
小林も当然譲らない。
そして、ついにその小林、最後のオヤ番がやってきた。
ここで連荘するしかない小林だったが、仕掛けてドラを切ってまでアガり切ったのは、達也。
小林のイーシャンテン打牌4pを捕えて2000。
達也としては、小林の連荘で素点を削られるわけにはいかず、また、このオヤを落とすことでこの後小林がアガリに向かわなくなるため、より自由な手作りが可能となる。
達也のシビアな選択である。
一方の小林は、実質的にここで投了となってしまった。
南3局では、藤田がピンズで仕掛けた瞬間に、「自由にはさせない」と、達也がツモ切りリーチ。
小林はオリ。藤田も大きな放銃をしなければ問題ないポイントであるため、オリていく。
残る瀬戸熊も、この手牌では戦えないため、南をトイツ落とししていく。
これは達也の一人旅になる…はずだった。
しかし、終盤、瀬戸熊が2sにポンをかける。
達也からすれば、「そこが来るのかよ!」だ。
そして…
それは、成層圏からの強烈な一振り。予期せぬ隕石が地上に降り注いだ。
この4000・8000で瀬戸熊がトップ目に立つが、達也としては、誰がトップ目にいようと関係ない。
自身がアガり続けて特大トップまで突き抜けるしかないのだ。
オーラス、連荘するしかない達也を尻目に、小さいラスなら許容できる藤田が軽やかにテンパイ。
その後、ツモ切りを繰り返す。
一方の達也は、終盤になってもまだイーシャンテン。
達也の叫びが聞こえる。
「テンパってくれ!」
幸い、上家の藤田はドラまでツモ切ってテンパイ気配のため、鳴ける牌が出るかもしれない。
しかし…
達也の鳴ける3pを引くと、藤田はノータイムでテンパイを崩して達也の現物を抜いた。
藤田は言う。
「達也さんは、たぶんノーテン。なら、テンパイさせずにここで終わらせる」
藤田に封じ込まれた達也は、屈辱のノーテンで敗退となった。
これで、達也・小林の敗退が確定。
藤田は別卓の結果待ちだが、大体決勝進出となりそうだ。
最終日、達也の強さであり、弱さでもある部分を見た気がする。
一端がさきほどのこれ↑である。
達也は言った。
「これ、普段はダマテンでずっと押すんですよ。でも、トータルを考えると、ハネマンを狙った方がいいのかなとか、色々考えちゃうんですよね」
すなわち、これを即リーチにいけないことが、達也の強さを支えている根幹でもあり、同時に弱さにもなる部分なのだと思う。
実は、達也はこういう局面をよくイメージトレーニングするのだと言う。
こういう局面とは、「自分の基本フォームとは違う選択をしなければいけない状況」のことである。
すなわち、「点数状況的に〇〇せざるを得ない」という状況だ。
しかし、その迷いと葛藤こそが、鈴木達也というトッププロの核であり、麻雀プロとしての矜持なのである。
負けてなお強し。
そんな印象を視聴者に残し、ファンタジスタはファンタジスタとして、今大会を去った。
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)
■次回放送(決勝1日目):11月8日(火) 17:00~ AbemaTV麻雀チャンネルにて
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